借地権を先に買うか、土地を先に買うか



借地権を先に買うか、土地を先に買うか

2019-03-08

こんにちは、株式会社ユービーエル代表の田中徹也です。

とある神戸での取引話

先日取引を終えた話ですが、借地権の物件でした。
権利関係としてはこうなっていました。

・Aさん、Bさん、Cさん、Dさんが土地を持っている。
・その土地をEさんに貸している。
・土地を借りたEさんが建物を建てている。
・その建物をFさんがEさんから借りている。

こんな物件の権利関係でした。

分かりやすく図式化するとこうなります。

借地関係

ことの発端

建物を借りていたFさんが退去することになりました。
建物は相当古く、もうボロボロ。

Fさんが退去すると、Eさんには当然賃料が入ってこなくなります。
これが普通に土地をもって建物を貸している人ならいいのですが、Eさんの場合Aさんらから土地を借りています。

よって、収入がなくなっても待ったなしで借地料の支払いが発生するのです。

土地から買うか、借地権を買うか

そんなとき、ちょうどこの辺で土地を探していたお客様がおられました。
弊社としては、そのお客さんにこの土地を買ってもらおうという動きになります。

しかしここで問題があります。

土地から買うメリットデメリット

土地からを買うと、借地権付きの土地となり買主が土地を自由に使えません。

土地を貸しているEさんが、土地を返します!というまでは帰ってきません。
「貸主が使うからどけ!って言えないの?」という話は通用しません。
それぐらい借地の権利は強いのです。

よって、その借地の権利だけでも売買が成立するのです。
あらためて、今回の場合においてのメリットデメリットを考えてみました。

土地から買うメリット

・資産として評価されるので、土地を担保に銀行借り入れをおこない買うことができる。
・自分で使えないが、Eさんに貸しているのでその分賃料は入る。
・Eさんが契約をやめる、または建物がなくなれば借地の権利はなくなるのでその後自社で使える。

土地から買うデメリット

・Eさんが自ら契約をやめない限り、地上を自由に使えない。
・Eさんに貸している限り、売るときには収益物件としての評価しかされない。

このようになります。

借地権から買うメリットデメリット

地上の権利である借地権を先に買うと、地上は使えるけど借地料を払い続けなければいけません。

今回、EさんはFさんが退去して賃料が入らなくなりました。
また、次のテナントもなかなか決まりにくい物件です。
よって、すぐにでも借地権を手放したいので、借地権を買う話は容易に進みそうでした。

しかし、ここにもメリットデメリットがありました。

借地権から買うメリット

・借地代が安いので、その土地を使えるとすれば安い。
・単純に借地代となれば資産計上ではなく、普通に損金扱いになる。

借地権から買うデメリット

・金融機関からの融資が使えない場合がほとんど
・借りている限り、借地料がかかる。
・自由に売買できない。

【ワンポイント】

借地権という土地を借りている権利ですが、これは売買することができます。
ただし、借地権を売買することで当然借主名義が変わります。
それについて、土地の所有者からたいていの場合、名義変更料を請求されます。

このようになります。

メリットデメリット

さらにもう一つ問題

今回のお話において、さらに問題がありました。

それは、今回土地を買いたいお客様は、その土地を建物を取り壊して自社の駐車場として使いたい、という目的でした。

建物が無いと、借地権は成立しない

基本原則ですが、借地権は本来建物所有を目的として土地を借ります。
駐車場として借りるのであれば、それは駐車場契約です。

しかし駐車場となれば、1台当たりの単価もあがります。

そんないろんな問題もあった事例でしたが、こんな感じに進めていったのです。

解決法と進捗

今回土地の所有者であるA・B・C・Dさんは何となく土地も売ってもいいと言いながらも、共有ということで売却の意思統一には時間がかかるということでした。

そこで、買主さんとしては借地代を払っても使うメリットがあると判断したので、Eさんから借地権から買うことにしました。

しかし、問題は駐車場として使うため買った建物を取り壊すことになります。
ということは、借地権を買うのですが、その借地権の目的である建物が無くなることになります。

ですので、どのようにしたかというと。。。。。

土地の所有者との借地権譲渡の覚書と借地契約書に「建物を取り壊し駐車場としての運営も貸主は承諾する」という一文を入れたのです。

これであれば問題も解決できます。

結果、このまま借地権を売買して完了すると進めていったのですが、、、、

土地所有者からまさかの提案

粛々と借地権の売買を進めていくと、どうしても土地の所有者とのやり取りも発生しました。
今回はその代理人として土地所有者より、とある弁護士が指定されていました。

その弁護士さんと打ち合わせをしていくなかで、土地所有者からまさかの提案があったのです。
それは、、

「うちの土地も一緒に買ってくれませんか?」という話でした。

なんと、借地権が売られることでこの機会に一緒に買ってもらったほうがいいと、共有者4人の売却の意思統一がこの期間でできたというのです。

土地を買えるのは、しばらく先だと思っていた買主さんでしたが、土地も買えるとなれば融資も利用できます。
よって、買主さんも快諾いただき話がトントン拍子に進みました。

その結果借地権と土地の所有権を同日に契約して、その後同日に決済する段取りとなりました。

結果、買主が土地の所有権と借地権を同時に手に入れたことになります。
と、なると自動的に借地権は消滅し、単純に買主は本物件の土地建物の権利すべてを有することになりました。

抹消

その後、買主さんは土地上建物を解体し、めでたく駐車場を手に入れた次第です。

裏側で大変だったことも

話がころころ変わる案件でしたので、僕も書類作成が大変でした。
特に土地の売買が急に決まったので、その書類作成に時間が短かったので必死でしたねー(笑

このように、難しい案件でしたが専門家との協力もありながら円満に取引できてよかったです。

株式会社ユービーエル
代表取締役 田中徹也



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