不動産仲介業はAIにとって変わるのか?(後編)
前回IT技術やAIにより、不動産仲介業がなくなるか?という話をした。
僕のしている複雑な案件はAI化できないが、簡単な賃貸仲介ならなる可能性がある程度に考えている。
しかし、この簡単な仲介さえもAI化はまだまだ難しいし、相当時間が掛かるとおもっている。
理由は3つある。
簡単な賃貸仲介でさえ完全AI化、IT化が難しい理由
まずは、単純に「ワンルームの賃貸」と狭い範囲だけで限定して考えよう。
1,仕組みは無料ではない
IT化された場合どんな流れになるか。
鍵なども電子キーで部屋は不動産屋がいなくても、内覧できた。
部屋も気に入って申し込む段まできている。
では、その後以下の通り進んでいくと想定する。
1,申し込みフォームで借主の申し込み内容を打ち込む
2,貸主にその情報が届く
3,貸主がその情報を分析し、可否を連絡
4,ネット上でチャットなども使い交渉もおこなう
5,決まった結果が賃貸契約書として作成される
6,貸主借主が、電子認証、電子マネーによる支払いをおこない契約成立
7,電子キーを貸主より借主に送られる
なるほど、確かにこれは便利なシステムだし仲介業者もいらない。
よって仲介手数料はいらない。
しかし、ここで大きな疑問が沸く。
そもそもこんな便利なシステム、
誰が作るの?誰が運用するの?
制作費用と維持費用は?
当然誰かが無料でしてくれるわけでなく、となればシステム利用料が絶対必要となるので、仲介手数料ほど高くなくとも結局費用は掛かるのだ。
2,契約の責任の所在
不動産仲介業の仕事は、案内して契約させて手数料をもらうだけではない。
その契約の中身に責任を持つ。
そのために、仲介の印鑑も押しているし宅建士がハンコをつく。
これは「不動産に関する契約は大きなお金が動くから、消費者を守るために専門家が契約の中身をしっかりと見て責任もて!」という観点である。
であれば、IT化などで「仲介業者いらねえ!!」となると、貸主借主、また売主買主が直接契約内容を互いに責任を持てとなるのだ。
3,そもそもオーナーがIT化においつかない
IT化、仲介業者いらねぇ理論を通す場合、1つの前提として登場人物すべてに一定のITスキルを要することが大前提となる。
便利なシステムができたところで、それに登録するのは物件の所有者だろう。
しかし、まだ今の所有者の多くは高齢者も多く、ネットやパソコンに疎い人も多い。
実際今でも「賃貸のことは、不動産屋さんに任す」という人が多い。
よって、不動産屋も賃貸物件の管理業務があるのだ。
では、IT化が今進んだ場合そうした貸主となる物件所有者はどうするか?
誰か、詳しいひとに物件登録や管理を頼むことに間違いなくなる。
当然依頼された人は、有料で仕事としてやるだろう。
僕だって、そういうシステムができれば、一気に管理業務を奪い去りにいく(笑
結果、その費用は賃料に上積みされるので、結果として借主が毎月支払う金額が高くなることが想定される。
まとめ
このように不動産仲介業が無くなり、IT,AIがそれに代わるかというと
できるだろうけど、まだ不経済でユーザーが追い付かないというのが結論である。
10年は掛かるでしょうね。
少なくとも。
ただ、この状況におごらず僕ら不動産業者はやっぱり、仲介業者さんがいて助かる!という仕事をしなければ生き残れないってことなのです。