不動産仲介業はAIにとって変わるのか?(前編)
2019-10-14
最近、AIに変わる職業として不動産仲介業があげられることが多い。
先日とあるツイッターでもこう書かれていた。
不動産仲介業者って、まじでいらなくないか?
なんでこいつら、物件まで運転手してドア開けるだけなのに家賃1ヶ月分も払わなくちゃいけないんだ?もう、絶対不動産仲介業者介さずに、ネットで完結出来る時代だと思うわ。
— ともゆき,おっぱい,エンジニア (@tomoyuki1992121) October 8, 2019
このツイートに対し、僕はこう返しました。
仲介業者としてまともにやってるものから言わせてもらうと、やってることってそこだけじゃないし、素人同士では纏まる話も纏まらないから。
— 株式会社ユービーエル 代表取締役 田中徹也 (@tanakatetsuya) October 8, 2019
彼がいうことも理はあるところでして。
不動産仲介業がAIに変わっていくことについてはいずれはなるだろうけどというのが僕の見解です。
AI?いや機械化できる不動産仲介、できない不動産仲介
人工知能が発達すれば仲介業もAIで、と言いますが正確にはIT技術の発達により、仲介業務の一部が機械化するということです。
そして、機械化できる仲介と、できない仲介があるのです。
機械化できる仲介
まず簡単なのは「単身者用のワンルームなどの賃貸」でしょう。
理由としては、調整が必要な部分が少ないということです。
セパレートがいいとか、ペットの不可。
あとは金額を含めた条件です。
言い換えればマッチング条件の定義が少なければ少ないほど機械化しやすいのです。
機械化できない仲介
正反対に機械化されることは難しい仲介業は、僕がしているような事業・収益用不動産の売買仲介です。
なぜなら、調整するべきポイントが大きいからです。
買主売主の細かい調整もあれば、物事の進め方、価格調整のタイミングも様々です。
例えば、価格調整のことを考えましょう。
ある物件が1億円だったとしましょう。
その物件を9千万円で買いたい人が現れた。
その売主買主の価格調整を行なっていくのですが、トラブルになる不動産仲介業者は、そのタイミングを間違えます。
この場合、以下のような作業が必要です。
僕の場合はこうやって進めます。
1,こういう値段交渉があることを売主に伝える。
2,買主には、価格の交渉があることを売主に伝えたことを報告する。
3,価格交渉の結論はここでは出さない。
4,すぐに、売主買主に売買に掛かる正確な諸費用を提示。
5,同時に、起こりうるリスクや修繕などかかりそうな物が無いかをチェック。
(例えば、「売主が引き渡しまでに修繕の必要がありそうな問題」「買主が購入後必要となりそうな費用」など)
6,上記5にかかる費用も計算した上で売主買主と価格調整。
7,契約価格を決定する。
こういう流れでやります。
しかし、トラブルが起きてしまう場合があります。
それは、上記でいうと3のタイミングで売主買主と価格調整をしてしまうことです。
このタイミングで決めてしまうと、あとで「こんな費用が追加で必要です」となった場合、今更そんなこと言われても!!となることもあるのです。
よって、正しい流れとしては僕が書いた方法なのですが、、、、
この流れでやることが間違っている場合もあるのです。
急いで抑える
それは何らかの理由で、物件を急いで抑える必要がある場合です。
先日もこんな話がありました。
9月上旬に「売買しましょう」と話がまとまりつつ、細かい調整をする段取りになっていました。
条件を調整して、月末に契約と決済を一発でやると、9月9日に話をしていました。
正直、土地の売買だったので難しい案件でもなく余裕ブッこいていたのですが、翌日10日にで僕の電話がなりました。
買主さんからの電話でした。
「ああ、田中社長。あの月末に一発取引言うてた件、建設会社がその土地も敷地にして建築確認出すねんけど、そのために取引が終わってなくても契約だけしとかなあかんらしいわ。
そやから急やねんけど。。。
今日の13時から契約だけできへんかな?売買価格は売主さんの言うとおりでええから(電話の時刻10時半)」
この日僕は、不動産業歴20年のうち最速で売買契約書と重要事項説明書を作り、契約を成立させました。
要は、正当な順番でやろうとしても、売主買主の都合により流れは変わると言うことです。
まさに、あらゆるケースバイケースの塊が事業用不動産の売買と言えます。
このように、まずはケースバイケースの条件が多い不動産取引は、やはり人間の仲介を必要とするでしょう。
あと、もう1つ不動産仲介の機械化がいずれはなるだろうけどの「いずれ」と言った意味は次回書きますね。