保証人とは違うぞ！連帯保証人って甘くないよ
不動産の賃貸について多くの場合は「連帯保証人」が登場します。
この連帯保証人、皆さんどれぐらい「キツイ立場」かご存じでしょうか？
そもそも、保証人と連帯保証人って違うの？
はい、まったくもって違います。
「この契約の保証人になってよ」というのと、「連帯保証人になってよ」というのはもう100％別物です。
なんとなく言葉的に一緒ですが、いろいろ実は違います。
特に３つ大きな違いがあるので、クイズ形式に3問出します。
ここでは「Aさんが家を借りるときに、あなたが連帯保証人になった」として話をしていきましょう。
「〇」か「×」かで答えてくださいね。
問題１、大家がAさんに連絡する前に、連帯保証人に「遅れた賃料払え」と言ってきた。払う必要はある？
答えは「〇」です。
大家が期日を過ぎても支払われない賃料に対し、Aさんに「賃料払え」という前に連帯保証人であるあなたに連絡があった場合も、あなたはそれを支払う必要があります。
普通に考えたら「先に、Aに言えや！！」と言いたいですよね。
これを「催告の抗弁権」と言います。
保証人はそれを主張できます。しかし連帯保証人は主張できません。
ようは、一般の「保証人」であれば、「先にAに請求してくれ！」が通用しますが、連帯保証人にはそんな権利はありません。
よって、いきなり請求が来ても払わなければいけません。
連帯保証人はきついですね。
では、次の問題。
問題２、問題１の請求を請けたが、連帯保証人のあなたは「Aが今支払える現金を持っている」ことを知っている。それを「伝えること」で支払いの義務を逃れられる。
答えは「×」です。
一般的な保証人は「Aは金あるぞ、調べろよ。それ差し押さえるなりしてからこっちに言えよ」と言えます。
はい、これを「検索の抗弁権」と言います。
これも連帯保証人には無い権利です。
極端な話をしますと
・Aさんが借金１０万円をして、その連帯保証人になった。
・Aさんが借金を払ってなかった、貸主が請求に連帯保証人のところにきた。
・３分前にAさんはパチンコで１０万円勝って、今確実に返せるのを主張した
・しかし、「は？しらねーし。連帯保証人が払えよ」と言われた。
・真横にリアルタイムでAが居ても関係なし
これが通るのです。
金も借りてないのに、連帯保証人は借りたのと同じ債務を背負うのです。
では次。
問題３、連帯保証人があなた以外のもう一人いることが分かった。半分だけ支払うことで義務を逃れることができる
答えは「×」です。
一般の保証人の場合は、問題のように「半分支払えばクリアー」です。
これを「分別の利益」と言います。
しかし、毎度ながら連帯保証人にはその権利がまたまたありません。
結果として「あと１００人連帯保証人おるけど、Aの借金全部お前が払えや」と言われたら、払う必要があります。
こんな事例も
はい、今度は事例を問題にしますね。
おまけ問題です。
おまけ問題、Aさんが３年賃料を払ってなかった、そのことを全く知らなかった連帯保証人のあなたに突然「Aの３年分の賃料払え！」と貸主が言ってきた、払う必要があるのか？
はい、どうでしょう。
ポイントは、滞納があったことを貸主が連帯保証人に伝えてなかったのです。
さあ？さあ？どっち？
答えは「〇」です。払う必要があります。
これは実際にあった話で、私も相談を受けて調べましたが「滞納が有無を連帯保証人に伝えないといけない」ということはありません。
よって、Aさんが黙って滞納していて、それを知らなかったとしても請求されたら連帯保証人は払わなければいけません。
なお、期間ですが賃料・地代は時効が５年ですので５年内のことであれば、請求されたら支払いとなります。
まとめ
いかがだったでしょうか？
連帯保証人ってこーんなに「重い」のですよ。
連帯保証人になるのは、借主と一緒の立場になるということです。
そして実務的にも、「連帯保証人の債務が知らんところで増えていた」という、おまけ問題みたいな事案も増えても「これはいかん」となりました。
２０２０年の民法改正で連帯保証の極度額を賃貸契約書に書け！となりました。
これは、連帯保証人がこれまでは「青天井」で保証していたものを、その極度額を契約書に記載するようになったのです。
よって、契約時に「１２か月分の賃料相当額〇〇万円」と記載することで、連帯保証する最大値が決められます。
「保証人は危ない！」と何となく知っていたかと思いますが、ここまで連帯保証になると責任があることを認識しておきましょう。
