還暦も!?高齢化マンションの行方
2026-01-31
先日、区分所有(マンション)の物件を検討している方から、相談を受けました。
「築何年くらいで、建物の建て替えってしますか?」
私は「うーむ」と黙ってしまいました。
これは決して答えが分からないのではなく、ケースバイケース過ぎるからです。
私たちは子どものころ、マンションはニョキニョキとたくさんできました。
統計データによると、2021年の段階で築50年を超えるものが20万戸。
2024年末で、築40年を超えるものは約148万戸あるそうです。
ある意味かなりの数のマンションが、すでに私自身よりも「パイセン」になっているのが現実です。
それに対して、国土交通省のデータによると2025年3月31日の時点で建替のあったマンションの件数は「323件(約2.6万戸)」となっています。
なお、この数は「累計」です。
と、いうことはどれだけ潜在的に、高齢化マンションが多いのか?がよくわかると思います。
建替えは容易ではない,,,,だから法律変えますねん!
その昔作られたマンションの法律「区分所有法」、1962年、今から63年前に出来た法律です。
その時は「もし、老朽化して建替えるときは持っている人の『5分の4』の賛成がいるんやで!」と施行されました。
しかし、実際に建て替えが必要となる近年、この5分の4がかなりハードルが高いことが実情として見えてきました。
それが先ほどの「建替え実績累計323件」に表れています。
「これじゃ無理じゃね」と2026年4月に改正区分所有法が施行されました。
細かい話はあとで書きますが、これにより建て替えがしやすくなります。
さて、では今回の法律改正で高齢化マンションたちはどうなっていくのでしょうか?
ここからは、私の予測となります。
1:好立地の古いマンションが投資の対象となる可能性
建て替えがもし決定すると、元の所有者がその持分に応じて、新たなマンションを原価くらいで手に入れることができます。
中には、お金が無いから建て替えの段階で、権利を売る人も出てきます。
そうなると、好立地の物件であれば古くとも「将来の建替えを見据えて」買う人も出てくるでしょう。
いわば、マンション版の地上げとも言えます。
当然、元の権利を持っている人が優先されますので、新たに好立地のマンションを買うのは難しい現在では悪い手ではないでしょう。
また、建替えを見込んで古い状態を安く買い、建替え決定後の権利を売る人も出てくる可能性もあります。
2:銀行は「融資の基準」を見直さざるを得ないようになる
住宅ローンを取り扱う金融機関も、取り組みを今後は考えないといけません。
新築にはバンバン貸す金融機関も、中古物件、特に築が古いと融資を渋ります。
しかし、「古くても将来建替えの可能性がある」ということになると、これまでのように『いやー築年数が古いので、、、、』という理由だけで年数を決められるのでしょうか?
古くても、いい物件であれば、期間を延ばしてでも審査せざるを得なくなる、と言えます。
3:普通賃貸借契約が禁止されるマンションが出てくる
現在関東においては、一定の期間で契約を終了する「定期借家契約」が主となりつつありますが、関西ではまだまだ普通の賃貸契約がメインです。
もし、古いマンションを貸す場合は、今後管理組合において「定期借家契約に限る」となる可能性も。
なぜなら、普通の賃貸契約の場合簡単に借主を追い出せません。
「建替え決議があるから」が認められればいいですが、過去の判例(東京地方裁判所 平成20年1月18日)では否認されたことも。
認められた場合でも「立ち退き料」などは、発生することが考えられます。
よって、一定期間で必ず賃貸契約が終了する「定期借家契約に限る」なんていう管理規約の変更も可能性としては全然あると思います。
余談ですが、神戸のかなり古い商業施設でも「普通賃貸借」で、いまでも貸しているところがあります,,,,将来どないするんやろか…
まとめ
このように、来年4月の区分所有法の改正は、高齢化マンションの価値の見直しとなることが考えられます。
「古い=ダメ」ではなく、正当な評価を改めて考えないといけません。
最後に今回の改正の要点だけまとめておきます。
もし、あなたが古いマンションにお住まいであれば、頭の片隅に置いておいてください。
・新たな再生手法の追加
建て替えだけでなく、建物敷地売却、建物取壊し敷地売却、建物取壊し、建物更新など、多様な選択肢が追加
・決議要件の緩和
耐震性不足などの条件を満たせば、建替え決議の要件が「区分所有者総数・総議決権の4/5」から「3/4」に緩和
・所在不明者の問題解決
所在不明の所有者を議決権の分母から除外できる制度が新設され、合意形成がしやすくなる


